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渉外広報・IT委員会
古紙持ち去り行為の違法性

大原法律事務所の大原誠三郎 弁護士、服部弘 弁護士、石川浩司 弁護士の見解です。

1.(問題提起)
 昨今、行政による古紙回収に際し、古紙集積所に住民から供出された古紙が、行政指定の回収業者以外の者(以下、「非指定業者」という。)によって、持ち去られるという状況(以下、「持ち去り行為」という。)が頻出している。
 この非指定業者による古紙持ち去り行為が、刑法上の犯罪行為を構成し、違法なもの、といえるかが問題となる。

2.(結論)
 非指定業者による古紙持ち去り行為は、少なくとも刑法第235条の窃盗罪に該当する違法行為と思料される。
 なお、刑法第233条の偽計による業務妨害罪も構成するもの、と考えられる。

3.(窃盗罪に該当すると考える理由)
窃盗罪が成立するためには、(1)「他人の」(2)「財物」を(3)「窃取」するという要件の充足が必要である。
(1) 古紙は、「財物」といえるか。
 このうち、古紙が「財物」といえるかについては、それが結果的に有慣で取引きされる物であることから考えてもその財物性を昔定することにおいて問題はない。
(2) 「窃取」するについて
 「窃取する」とは、判例上、不法領得の意思をもって占有者の意志に反してその占有を侵害し、目的物を自己の占有に移すこととされており、古紙「持ち去り行為」が、「窃取」するという要件を充たすことは疑いない。
(3)「他人の」財物について
 集積所に供出された古紙が「他人の」財物に岐当するが、ということが、本件において窃盗罪の成否を考えるにあたり最大の問題となるが、これに関しても集積所に供出された古紙は、「他人の」財物といえる。
 即ち、「他人の」の意義に関しては、「他人の占有する」という意味であることは判例上の確立した見解であるところ、この「他人の占有」があるというためには、その財物に対する「事実的支配」があることと、自己の支配領域の中にある物を支配しているという意思である「支配の意志」を対象財産に有していることの両要件を充足することが必要である。
 集積所への古紙の供出行為は、単純な古紙遺棄行為ではなく、古紙の再利用という目的に協力するため、条例に依拠した行政の要請に従い、古紙を明らかに分別して、一定の期日に、定められた集積所に置く行為である。
 従って、住民が集積所に古紙を置くことは、住民が古紙を行改に譲渡する行為である。
 そして、行政は集積所をとおして古紙の譲渡を受けることとなるが、古紙は紐等により束ねられており特定した物と認められること(物の特定)、集積所の位置ないし時間は行政において定められていること(場所の特定)、及び集積所は一般公道に位置しており行政の管理下にあると認めることができること(支配の状況)などから、行政の「事実的支配」が、古紙が集積所に置かれた段階で認められると思われる(客観的側面)。
 また、古紙の譲渡を受ける行政としては、古紙は再利用の目的という一般家庭と行政の共通認識の下、行政の管理下の集積所をとおして譲渡されるものであることから、一般家庭が古紙を集積所に置いた段階において、集積所に供出された古紙に対する行政の「支配の意志」を認めることができると思われる(主観的側面)。
 この意味において古紙の占有の間隙は生じないと思われる。
 このような次第であるから、行政は一般家庭から古紙が集積所に置かれたときに古紙に対する占有を取得すると認めることができると思われる。

以上、非指定業者による古紙持ち去り行為は、窃盗罪の要件を全て充足するもので、窃盗罪を構成するものである。

平成12年12月14日

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